【未指定文化財レポート】~佐田の泣き供養~

先日、8月15日に佐田地区で行われている「泣き供養」という風習を取材させていただきました。

高松かるたで「な/泣き供養 盆に行う おっ母 ちゃんやー」と詠まれているので高松地区の皆さんはご存じの方も多いと思いますが、泣き供養とは、小学生の男の子たちが「おっかあ(母親のこと)、ちゃんやー(父親のこと)死んだぁなー、あーん、あーん。」と泣きまねをしながら地区内を一周する民俗行事です。
この珍しい行事がいつ頃から始まり、何の為に行われているのかは詳しく分かってはいませんが、高松かるたのガイドブックに掲載された古老の話によれば、疫病で大勢の人が死亡し、その供養のために行われたものとも言われています。
 
この日、佐田地区のお寺にお邪魔すると、すでに子ども達が集まってきていて、観音様に御線香をあげて、大人から太鼓や鐘の敲き方や囃し方などを教わって練習していました。お寺の中には、この日に限って地獄絵図の掛け軸が掛けられています。

いよいよ始まると、お寺に安置されている大きな御位牌を先頭の男の子が抱えて、次に太鼓・鐘が続き、一列になって「おっかあ、ちゃんやー、死んだぁなー、あーん、あーん。」と泣きまねをしながらお寺の庭に置かれた石塔の間をぐるぐると三週8の字を描くように回った後、お寺を出発。子ども達は泣きまねをしながら地区を一周します。

地区の方々は、子ども達が来るのを家先で待っていて、「暑いのにご苦労様」と子ども達と引率の大人に声をかけてお小遣いやお菓子を渡していました。中には「近所の人に電話して、そっちはもう来たか、今どこら辺か。と話しながら待ってたよ。」というおばあちゃんや、「声が聞こえたから、急いで来たよ。」と後から走って追いかけて来る近所の人もいました。
この風習が地域で大切に守り伝えられているのだなと感じました。

小学生くらいの男の子達が太鼓等をもって地区を一周囃し廻るという部分は、粟生・木滝・中地区等で行われている「鳥追い」とも似ています。また、「泣きまねをする」という部分では立原地区で行われている「泣きぎおん」(鹿嶋市指定無形民俗文化財)にも似ています。

時代の流れ中で、近年消えていってしまった民俗行事も多い中、こういった今も続けられている無形民俗文化財は、郷土の宝ではないでしょうか。佐田地区の子ども達とそれを支える地域の人々の様子を取材しながら、地域の伝統を守り伝えていく大切さを実感しました。